研究分担者 |
松本 淳 首都大学東京, 大学院・都市環境科学研究科, 教授 (80165894)
村山 祐司 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (30182140)
江崎 雄治 専修大学, 文学部, 助教授 (40282503)
森本 健弘 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (20282303)
伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20345078)
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研究概要 |
本研究では,GIS(地理情報システム)とデジタル空間情報を活用し,居住と自然環境との相互関係を解析した.特に,人口や居住地の分布と標高・傾斜などの地形条件との関係を詳しく検討した.この際には,現在の状況とともに,明治・大正時代を含む過去の状況についても検討した.過去のデータは形式が複雑な場合が多かったため,最初にGISで利用可能なデータベースを構築した.研究対象地域には1)日本全国,2)関東,関西,中国・四国,3)東京圏・山形県最上地方などが含まれており,多様な空間スケールに関する検討を行った.また,人口以外の人間活動を反映する指標として,水車場,耕作放棄地,駅の乗降客数,地価の空間分布を取り上げ,地形条件などとの関係を検討した.さらに,ネパールにおける居住と地形条件との関係も分析した.また,居住を含む人間活動が自然環境に影響を与える例として,河川水質に関する課題を取り上げた.研究対象地域は関東地方と東部イングランドとし,土地利用が水質に与える影響などを検討した.さらに,全球の都市人口を可視化する手法とその教育上の意義も検討した.本研究を通じて,地形条件が居住などの人間活動を強く規定し,その規定の程度や様式が時代とともに変化したことが明らかにされた.時代による変化は,社会情勢の変化とともに,治水などの人間による自然の制御にも影響されていることが判明した.このことは,現実のデータに基づく具体的な検討を通じて,自然と人間活動との関係を相互作用として理解すべきことを示す.同じことが,人間活動と河川水質との関係についても当てはまり,地域の持続可能性を議論する際には,人間活動が水質に及ぼす影響とともに,水質が社会に及ぼす影響を考慮する必要があることが指摘された.さらに,自然・人文環境とGISに関する多様な検討を平行して行った.
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