研究課題
基盤研究(B)
地形のほとんど残っていない鮮新・更新世の古地理を高精度で復元するためには、この時期に堆積した全国各地の地層から同時間面を抽出し、その堆積環境の地域的な特徴を読みとることが必要である。同一時間指標としては火山の巨大噴火によって短期間に日本全国に降灰した細粒ガラス質火山灰が有効である。このため、日本各地の鮮新・更新世の地層を地域ごとに分担して地質調査し、その中に含まれるガラス質火山灰について光学的性質や化学成分(主成分および微量成分)、さらに古地磁気層序や微化石層序との関係を詳しく分析し、その特徴からそれら火山灰の全国対比を試みた。16年度の地質調査は九州の大分・宮崎・鹿児島北部地域、四国西部、瀬戸内海西部地域、島根県東部、新潟県西部、富山県西部、長野県北部、南関東の房総半島、相模原および武蔵野台地、北海道の大雪から十勝平野地域で実施し多数の火山灰試料を採取した。さらに濃尾平野および関東平野の中深度ボーリングコアの解析も行い火山灰試料を得た。この結果、約4Ma前後の東海層群の坂井火山灰、太田火山灰等が房総半島、北陸、新潟の地層中から発見された。また、島根の都野津層上部からは大阪層群中に含まれる2.2Maの火山灰が、そして、関東平野中部でのボーリングコアの深度300m前後の地層中に、0.85-0.9Ma頃の広域火山灰層がそれぞれ確認された。さらに、武蔵野台地南部で東京都によって行われたボーリングコア中の火山灰の分析から、世田谷から大森にかけての台地の基盤は房総半島の黄和田層(約1.6Ma)に対比されることが分かり、その同一時間面は富山・金沢・高山周辺、長野北部、新潟北部、湖琵琶湖周辺でも確認された。来年度は、試料採取と分析を継続すると共に、地形発達史や堆積環境に関する資料の収集を行う予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Palaeogeography, Palaepclimatology, Palaeoecology 216
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