研究課題
1.雪氷中の微生物分析法の改良南極氷床アイスコア中に保存されている大気起源微生物の分析方法を確立し、古環境指標としての可能性を検討するために、やまと山脈およびみずほ基地で採取されたアイスコア試料から、最も状態がよく汚染の可能性の少ない試料を選定してバクテリアDNAを抽出し、16SrRNA遺伝子解析による種の同定を行なった(牛田、幸島)。その結果、氷期と間氷期の試料間で、含まれるバクテリア相に大きな違いがあり、その違いが供給地の環境の変動を反映していることが示唆された。したがって、これらの微生物の供給源と輸送過程が明らかになれば、氷床アイスコア中の微生物が、新たな古環境指標として利用できる可能性が示された。そこで、南極氷床アイスコア中のバクテリアの重要な供給源の一つだと推定される、アマゾン熱帯雨林から大気中に放出される微生物を研究する準備として、INPA(ブラジル、アマゾン流域研究所)を訪問し、共同研究の打ち合わせと予察的試料採取を行った(白岩)。2.雪氷微生物を利用したアイスコア解析法の検討2003年にロシア・アルタイ山脈のベルーハ氷河で採取した171mコアのコア処理と生物成分解析を約50mまで進めた(幸島,竹内)、また、チリ共和国科学研究センターのジーノ・カサッサ博士との共同研究で、南米チリ中部火山群のモチョ火山とオソルノ火山、およびラニン火山山頂の氷河でそれぞれ10mアイスコアを採取し(幸島)、雪氷微生物や花粉などの生物成分を利用したアイスコア解析を行った(幸島、白岩)。その結果、分析した全てのコアで、雪氷藻類と花粉を利用すれば、正確なアイスコア年代決定が可能であることが確認された。3.地域比較のための雪氷微生物試料の収集と解析チリ中部火山群の氷河(幸島)、中国の天山山脈の氷河(竹内)で雪氷微生物試料を採取した。また、アラスカのグルカナ氷河、ウガンダのルウェンゾリ山の氷河で採取した試料から分離された未記載好冷バクテリアの培養と記載準備を行っている(吉村)。
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