本研究の目的は植物プランクトンの微細な分布状態を乱流に関する物理量と共に計測し、その関係を明らかにすることである。この目的のため、新たな微細構造観測プロファイラー(TurboMAP-L)を開発し、さらにTurboMAP-Lに搭載した小型LED蛍光光度計の空間解像度を明らかにすることに成功した。さらに蛍光光度の空間解像度を上げるためにレーザー光を用いた蛍光光度計を開発し、その空間解像度も明らかにすることが出来た。LED方式が約2cmで、レーザー方式が2mmである。TurboMAP-Lは両者のプローブを搭載し、乱流の物理量を同時に計測ができる唯一の測器である。平成18年度は、これまでに蓄積したデータの解析を進めることにより、LED方式とレーザー方式の蛍光光度計の50cm以上の空間平均値が等しくなることを分かった。本年度は、さらに、スクリップス海洋研究所のJaffe教授とFranks教授が開発した自由落下式イメージシステム(FIDO-φ)との比較実験をカリフォルニアの沿岸域で行った。FIDO-φはレーザー光とCCDカメラを用いて20cmx20cmの空間を、100μmx100μmの空間解像度で植物プランクトンの分布状態を計測することができる唯一の測器である、しかしながら、乱流の物理量を計測することができない。そこで、TurbohMAP-LとFIDO-φのデータを組み合わせることで、これまでに明かされていない植物プランクトンの微細な分布状態に乱流がどのような役割を果たしているか着目し、解析をすすめている。
|