研究分担者 |
林 良茂 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (60019750)
佐藤 努 金沢大学, 自然計測応用研究センター, 助教授 (10313636)
鎌田 直人 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (90303255)
田崎 和江 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80211358)
早川 和一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40115267)
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研究概要 |
(1)汚染の現状の把握・解析:能登半島沿岸の土壌,重油残留物の分析を行った.土壌中のPAH濃度はほぼバックグラウンドであり,PAHは重油残留物中に主に存在することが分かった。調査により,現在では,重油残留物は岩場の間隙等にわずかに残るのみであることが明らかになった。また,環境中での動態解析の一環として,金沢市の河川水,河口底質のPAHs濃度を調査した。 (2)粒子状物質・土壌・底質におけるPAHの挙動解析・モデル構築:粒子径,有機物質含有量の異なる土壌・鉱物粒子への(PAHの代表としての)ピレンの吸着特性を検討した。ピレンは主に有機物質に収着すること。有機物質含有量の大きな粒子では,収着量の粒子径依存性がはとんど見られないことなどが明らかになった。鉱物粒子への収着量は1〜2オーダー小さかった。金沢市の河川中では,SS濃度が低いため,PAHの大部分は溶存態で存在することが分かった。また,溶存態と懸濁態との比は,分配係数から予測される程度の値であることが分かった。底質中のPAH濃度を粒子径別に分析したが,その結果については今解析中である。 (3)将来予測モデルの開発:残留重油中のPAHの分解速度について解析を加えた。初期2年間の間にPAH濃度の著しい減少が見られるが,その後,環数にかかわらず,分解速度が著しく遅くなることが分かった。このため,岩場の間隙等に存在する重油残留物は長期にわたって残存することが予測される。 (4)土壌・底質からのPAH除去法の検討:土壌・底質ともに,PAHsは主に有機物に収着していることから,有機物マトリクスから除去を行う方法の検討が必要であることがわかった。
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