研究概要 |
本研究は、気候変動の地域差について考察するために、地球規模・アジア・東アジアの3つのスケールでの気候変動の同時進行性及び地域差について検証することを目的としている。具体的には、気候変動に関する十分なデータセットが得られていない陸域の気候変動復元の新たな方法の確立、海洋試料と陸域試料から得られた気候変動復元の年代編年の違いを最少化する研究等を行う。本年度は、気候変動指標として有効と考えられる湖沼堆積物に含まれる珪藻化石のケイ素・酸素同位体分析に必要な装置の考案・開発、堆積物からの珪藻化石の抽出法の検討、堆積物の高精度年代編年に有効な加速器質量分析法による炭素14年代測定・^<10>Be測定の効率化に向けた検討、海洋と陸域試料の炭素14年代差の検討(Morimoto et al., 2004 ; Phong et al., 2004)、炭素14年代の南北差の検討(Kitagawa et a1., 2004)、高精度年縞堆積物の編年法の確立に関る文献調査を行った。珪藻化石の同位体分析法の確立に関しては、従来のバッチ法及び二酸化炭素レーザーを使ったレーザーアブレーション法の装置の設計・開発を行い、現在、再現性や最適条件の決定に関係した研究を実施している。加速器質量分析法による14年代測定及び^<10>Be測定に必要な試料処理の効率化の検討に関しては、従来の方法の問題点を部分的であるが解決することができ、実験に必要な時間が1/2以下になりつつある。特に、炭素14年代測定に関しては、32試料/8時間の処理が可能となっている。次年度以降,今年度に行った実験方法の確立及び再検討の成果を実際の試料に応用する予定である。
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