研究課題/領域番号 |
16310012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
井上 源喜 (松本 源喜) 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (80245357)
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研究分担者 |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (10285190)
長谷 義隆 熊本大学, 理学部, 教授 (40040109)
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キーワード | バイカル集水域 / 湖底堆積物コア / 長期環境変動 / バイオマーカー / 光合成色素続成生成物 / 化石花粉 |
研究概要 |
国際共同研究(日本、モンゴル、ロシア、韓国)により、モンゴルのフブスグル湖で2004年1-3月に掘削された81mの堆積物コア(HDP-04)等の全炭素(TC)、全イオウ(TS)、全有機炭素(TOC)、全窒素(TN)、バイオマーカー、光合成色素続成生成物(SCEs)および花粉分析を行いそれらの大まかな傾向を明らかにした。 大妻女子大学では冷凍保存した堆積物コア試料を自然解凍後TC、TOCおよびTNは4-100cm間隔で、自動元素分析計を用いて測定した。炭化水素、脂肪酸およびステロール等のバイオマーカーは、1m間隔でガスクロマトグラフ/質量分析計を用いて測定した。TOC濃度はバイカル湖と同様にかなり低く、生物生産量は過去100万年以上にわたり小さかった。また、TOC/TC値はかなり高く炭酸塩が多いことが判明した。バイオマーカー組成からは植生が大きく変動したことが示された。 静岡県立大学ではHDP-04コアの光合成色素をHPLC分析した結果、ステリルクロリンエステルがほぼ全層にわたって検出され、ルテイン・ゼアキサンチン・ベータカロチンなどが最終氷期以降の層からも高い濃度で検出された。また、一部の層では、光合成硫黄細菌由来のバクテリオクロロフィルeも検出され、これらを指標とすることによりフブスブル湖の一次生産性や酸化還元状態の変遷を解読できることが示唆された。 熊本大学ではフブスグル湖湖底堆積物のHDP-04コア試料について試料を調整し、現在花粉分析処理中である。これまでのX106コアの分析結果では、最終氷期から晩氷期への移行期にヨモギ属の産出を主体とする草本植生が広がっていたことが明らかになった。この移行期、バイカル湖では低木類とそれに伴ってカバノキ属が増加しているので、両盆地の標高差(約1200m)による環境の違いが反映されているものと解釈される。
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