研究課題/領域番号 |
16310012
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
井上 源喜 (松本 源喜) 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (80245357)
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研究分担者 |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (10285190)
長谷 義隆 熊本大学, 理学部, 教授 (40040109)
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キーワード | 環境変動 / バイカル湖集水域 / 堆積物コア / バイオマーカー / 化石花粉 |
研究概要 |
本年度はHDP-04(2004年掘削)、HVO5-ST2コア等(2005年採取)のバイオマーカー、光合成色素続成生成物(SCEs)及び化石花粉の分析と解析を行い総括した。8月にはロシアの地球化学研究所で実施されたHDP-06コア(2006年掘削)の配分作業に1名が参加した。11月14日-12月9日にはモンゴル地質学・鉱物資源研究所の主任研究員を本学に招聰した。一方、堆積物中のバイオマーカーを迅速に分析するために、JHP-5型熱分解装置を導入しその有効性を確認した。 HVO5-ST2コア等では過去約2万年間(氷期から後氷期)について、有機炭素等、バイオマーカー(炭化水素等)、SCEs及び化石花粉の分析を用い、環境変動と生物構造変遷iについて詳細な検討を行った。 HDP-04コア(最深部約110万年)の全炭素中の無機炭素は20-80%であった。本コアの全有機炭素(TOC)やSCEs濃度は、海洋堆積物の酸素同位対比(MIS1-31)の変動と類似性がみられ、グローバルな環境変動に湖地域のそれが反映されているといえよう。フブスグル湖の生物生産量は、1213mの高度差があるにもかかわらず、バイカル湖よりは若干高い結果が得られた。また、外来性有機物の寄与率は、バイカル湖よりフブスグル湖のほうが高かった。フブスグル湖は集水面積が小さく海抜高度が高いため、氷期と間氷期における環境変動が大きいことが明らかとなり、深度18-20mには植物色素より緑色光合成イオウ細菌が生息し、湖底が還元状態になったと判断される。 バイカル湖集水域における過去100万年以上に及ぶ環境変動と生物構造変遷、及びバイカル湖とフブスグル湖の高度差による環境圏と生物圏の相互作用に関する研究の成果は、本報告の4報の他に5報が国際学術誌に投稿中で、さらに2報を作成中である。
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