研究概要 |
本年度は計画通り以下の研究を実施した. 3.各植物種のVOC除去能力の評価 4.光強度や暴露濃度とVOC沈着量の関係の検討 5.群落へのVOC沈着フラックス測定方法の開発 3 公園樹木として広く用いられるシラカシ,ウバメガシ,スダジイ,サンゴジュを用い,これら樹木のVOC除去能力を調べた.暴露したVOCは,ベンゼン,トルエン,メチルエチルケトン(MEK),メチルビニルケトン(MVK),メタクリルアルデヒド(MA),クロトンアルデヒド(CRA)であった.ベンゼンとトルエンはどの植物にも吸収されなかったが,他の物質は高い速度で吸収された.純水を用いた溶解実験と比較すると,水への溶け込み量より,植物による吸収量が多く,内部で速やかに代謝されていることが示唆された. 4 光強度を変えた実験から,MEK, MVK, MA, CRAは気孔から吸収されることが裏付けられた.暴露濃度を数ppbから数十ppbへ変化させても,植物の代謝能力を示すCi/Ca値は変化なかった.このことから,植物は,環境濃度域のこれら有機ガスを速やかに気孔から吸収し,葉内で代謝できることわかった. 5 群落へのVOC沈着量を精度よく測定可能な簡易渦集積法(REA)法用のVOC自動濃縮採取装置の改良を施した.配管へのVOCの吸着を抑えるため加温ヒーターを取り付けた.また,電磁弁を高応答性のものに取替え,高周波数側の渦のサンプリング精度を向上させた.用いる採取管の抵抗を均一にして,電磁弁の切り替えの際の流量変動を抑えた.以上の結果,本装置は正確に設定流量を採取でき,±5%の精度でVOC濃度を測定できることがわかった.
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