研究課題
高い生産性と生物多様性に支えられる東南アジア熱帯林においては、その生態系機能に関する重要性は認識されているものの、巨大でアプローチの困難な生態系であるため、精度の高い推定やローカルな現象のスケールアップに問題があった。本研究では、林冠観測クレーンを利用して、林冠部において個葉レベルから群落レベルにわたる異なったスケールで、炭素収支推定に対し必要となるパラメータをモデルコラム観測により取得し、これらを基に実測や数値シミュレーションよって炭素収支モデルの確立を試みた。モデルコラム観測では、森林の3次元構造を、林冠クレーンを用いた異なる測定方法(樹木計測、レーザプロファイラ計測)により葉群や林内の光環境を三次元で復元した。同時に、生物および環境要因に関するパラメータについて、植物生理・森林生態・環境物理・空間情報工学といった異なる視点から、個葉レベル(10^<-2>〜10m、10^<-3>〜10^2日)、群落・林分レベル(10^<-1>〜10^3m、10〜10^4日)、衛星レベル(10^<-1>〜10^7m、1〜10^2日)などの時空間スケールで収集した。これらをもとに、実データ実装による生理的プロセスモデル・森林構造モデル・森林内の物理過程モデルなどからなる新たな統合型の炭素収支モデルに基づく炭素収支推定を行った。平成18年度は、研究期間の最終年にあたり、近接非接触計測、個葉ならびに群落レベルでの生態プロセス、時空間データベース構築、フラックス計測・炭素収支モデル構築・検証などの項目で得られた研究成果のとりまとめを主として行った。[研究協力者]近畿測量専門学校・山下恵・時系列林冠3次元構造データの構築と利用森林総合研究所・田中憲蔵・個葉レベルの光合成計測とそのデータ解析
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proceedings of the 27th Asian Conference on Remote Sensing(CD-ROM)
Proceedings of the 27th Asian Conference on Remote Sensing(CD-ROM)
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