研究課題
基盤研究(B)
分光光度法を応用した新しい手法により、海水の全アルカリ度を高い精度で測定できる自動海水処理装置とその動作プログラムを設計・製作し、改良を進めた。平成17年6月〜7月に実施された気象庁凌風丸の航海では、太平洋西部の亜寒帯循環域から複数の海洋フロントを越えて黒潮続流南側の亜熱帯循環域に至る海域に位置する東経165度、北緯50度〜北緯28度の合計18の各層採水点で、水深1000mまでの各層採水を実施した。航海後に、持ち帰ったサンプルの全アルカリ度を開発した装置を使用して分析した結果、およそ±2μmol kg^<-1>の(1/1000未満)の高い精度で分析できることを実証できた。さらに、同航海における全アルカリ度の観測値をフロント域表層における亜寒帯水と亜熱帯水の水塊混合の指標として用い、その全炭酸濃度の観測値との関係を評価して、同じ海域の1992年のデータと比較した結果、1992年から2005年の13年間に、この海域の表層における全炭酸濃度は、大気からのCO2吸収によって、12〜17μmol kg^<-1>増加していることが分かった。海水中のバックグラウンドレベル濃度の溶存六フッ化硫黄(SF_6)濃度を分析する装置と、専用の採水ボトルを設計・製作した。検出器温度やキャリアガス流量などについて分析に最適な条件を検討し、検出限界を0.015fmol(フェムトモル)1kgにまで低減させることに成功した。また、SF_6濃度測定用の標準ガスを、内面研磨した10Lのアルミニウム合金製高圧シリンダーに調製し、その濃度が少なくとも9ヶ月の期間にわたって分析精度の範囲内で安定していることを確認した。平成18年10月に実施された気象庁凌風丸の東経137度海域の観測においてSF6濃度の各層観測を行い、亜表層に1.1fmol/kgの濃度極大を示した鉛直分布の観測に成功した。
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