研究課題
基盤研究(B)
新規防汚剤Triphenylborane-pyridine(TPBP)を対象物質として、船底塗料から海水中に溶出した本物質の環境内運命を、特に底質中での挙動や分解産物の毒性の観点から評価した。本物質は海水中の微生物によって比較的容易に分解してphenolとbiphenylを生成し、UV-A照射によっても分解して同じ2種類の分解産物を生成した。本物質は底質への吸着力が強く、いったん吸着した底質から容易には脱着しないことが示された。また、底質に吸着したTPBPは前記の2種類の分解産物を生成した。これら2種類の分解産物の生態毒性はTPBPと比較すると弱かった。以上の結果から、本物質は船底塗料から海水に溶出すると太陽光分解を受けながら底質へ移行し、底質中の有機物に吸着すると共に分解して分解産物を生成する。太陽光が入射する海水中ではTPBPの環境リスクは低いと推測されたが、有機物量の少ない底質に移行したTPBPは底生生物に対して悪影響を及ぼす可能性が懸念された。港湾底質の毒性を評価するため、海産発光細菌Photobacterium leiognathi SBを用いたTOX Screen II試験を改変した。本細菌を港湾底質に直接暴露し、底質の濁りによる影響を除外した方法により、底質の湿重量を元に算出した50%発光阻害濃度を用いて供試底質の毒性を定量的に評価した。大槌湾底質には毒性が認められず、舞鶴湾底質の数試料で比較的強い毒性が認められたのに対し、大阪湾底質では極めて強い毒性が観察された。毒性の強い底質試料の強熱減量は高い傾向にあり、観察された毒性と防汚剤や有機有害物質の残留との関連に興味がもたれた。
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