研究概要 |
千浦は,広宿主域遺伝子伝達粒子(VP)のプラスミド伝達可能性検討のため,Aquifex sp由来ST-VPにより得られた形質導入大腸菌株(ST-E-trans)が生産した粒子(STEVP)を,amp'プラスミドを保持する大腸菌株に感染させ,粒子生産が獲得されることを確認し,生じた粒子を大腸菌DH5αに感染させたところamp'株が1.9×10^<-6> transductants/particleの形質導入頻度で生じプラスミド伝達を確認した. Ridgeは,これまで知見のない土壌環境でのVP検索のため,Philippineのサゴヤシ根元土壌から豊田剛己博士(東京農工大学)により採取された窒素固定細菌(sago2)の分譲を受け窒素固定能を指標として検討した.該菌株からのVLP(SG-VLP)生産能を確認し,精製SG-VLPを受容大腸菌に感染させたところ,4.37×10^<-7> transductants/particleの頻度で窒素固定能獲得大腸菌株が得られた. 河原林は,VP内DNAのクローニングについての予備検討として,土壌環境からの回収DNAを用いてライブラリー構築効率の検討を行い,効率的ライブラリー構築手法を確立した. また,VPゲノム保有遺伝子の発現モデルとして,環境中から見出された遺伝子領域の大腸菌内での発現検討により,耐熱性を保持する複数の分子種を含む可溶性蛋白質が得られた. 帆秋は,太平洋海洋底採泥試料から低温メタン菌並びに該菌を本来の宿主とする新規VP溶原菌の分離・培養,並びに同粒子生産条件を検討中である. 久留主は,高温耐性獲得に関与する分子シャペロン解析の手始めとして,分子シャペロンGroELの温度適応領域の同定を行い,真正細菌由来GroELのCOOH末端領域が反応温度に関与することを明らかにした.同領域は蛋白質工学的解析から14量体形成に必須な領域で,温度依存性の構造成熟化に関わることを明らかにした.更に様々な反応温度を有するGroELを大腸菌に導入した結果,増殖温度をGroEL反応温度に正の相関があることを見出した.
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