水循環機能と微生物の分解機能の両面からモニタリングを行い、自然の干潟・湿地である盤洲干潟・小櫃川河口湿地の比較をすることで、事業規模でより現実的な自然再生の事業評価手法を開発することを目的とした。 1)調査・観測 1.土壌環境の変動性の把握 小櫃川河口域塩生湿地のハママツナ群落の周辺の地盤高を4月と10月に測定した。調査地域の内最大の堆積は18.8cm、最大の侵食は8.8cmであった。 2.物質循環の把握 ヘリコプターから熱赤外画像を撮影し、水温の校正のため自動記録水温計を12箇所に設置した。干潟地温と水温はほぼ一様で湧水の湧き出しは見出せなかった。 2)実験 表層土壌や浅海域の底質の水について水循環の視点から採取方法を検討し、土壌水や間隙水の採取手法の確立をするため実験を実施した。 3)微生物による分解機能の推定 ・小櫃川河口域・盤洲干潟及び人工干潟において景観、立地条件の異なる7地点を選定し、調査および試料採取を行った。 ・6月から翌年11月にかけて年3回の調査を行った。なお、いずれの調査においても、大潮の近い時期の昼間干潮時、底泥が干出した時間帯に調査および資料の採取を行った。 それぞれ植物細胞壁および甲殻類の外殻の主要な構成高分子である、セルロースおよびキチンの分解に関与するβ-グルコシダーゼ活性(GLU)、β-アセチルグルコサミニダーゼ活性(AGA)、また、微生物的活性の指標としてエステラーゼ活性(EST)を測定した。
|