研究課題/領域番号 |
16310038
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山内 清志 静岡大学, 理学部, 教授 (50201827)
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研究分担者 |
石原 顕紀 静岡大学, 理学部, 助教 (70432193)
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 准教授 (70187970)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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キーワード | 有害化学物質 / 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱 / バイオアッセイ |
研究概要 |
脊椎動物では、甲状腺ホルモンは中枢神経系の発達や両生類の変態のような胚発生後期に必須のホルモンである。本研究では、甲状腺ホルモンのシグナル伝達系を標的または標的とする疑いのある化学物質に焦点をあてた。そのために、3つのin vitroアッセイと一つのin vivoアッセイを構築した。それらは、血清蛋白質トランスサイレチンへのホルモン結合に競合する化学物質を検出するTTRアッセイ、核内受容体へのホルモン結合に競合する化学物質を検出するTRアッセイ、細胞内の甲状腺ホルモン応答レポーター遺伝子発現への影響を検出するLucアッセイ、両生類の変態時に甲状腺ホルモンに応答する遺伝子の発現を検出する変態アッセイから成る。いくつかの有機ハロゲン化合物は、これらのアッセイで異なった様式で影響を与えたが、TRに影響するものはあまり見いだせなかった。両生類の変態のある時期では、いくつかの化学物質に感受性が高かった。次にこれらのアッセイを日本とタイの環境水中の甲状腺ホルモン撹乱活性の検出に用いた。バイオアッセイは、製紙工場や下水処理場の浄化処理によって甲状腺撹乱活性物質が効率よく除去されていることを明らかにした。また、Lucアッセイでは日本の下水処理水では甲状腺ホルモン様活性を、タイの下水処理水では抗甲状腺ホルモン様活性を示した。3つのin vitroバイオアッセイは、環境水サンプルによって同じ物質を認識したりまたは異なる物質を認識しているようだ。われわれの実験結果は、これらのバイオアッセイを組み合わせて用いることで、環境中の甲状腺撹乱物質を迅速にスクリーニングし、汚染地域を同定できることを示している。
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