研究概要 |
p53遺伝子ノックアウトマウスとヘテロマウス、p53遺伝子正常マウスを用い、放射線の発がん過程で、p53遺伝子がDNA修復機構と協調し損傷細胞をアポトーシスによって排除する機構を検証する。 照射方法:それぞれの群の7週令マウスの背部被毛を剃毛後、β線源を皮膚に密着して照射する。発がんが確認されるまで週3回反復照射を続ける。 β線源:^<99>Sr-^<90>Y直径2cm円盤線源、1.85GBq、線量率15Gy/min 1回当りの照射線量:過去の実験結果より1回照射線量2.5Gyでおこなった。 マウスの遺伝的バックグランドはこれまでの実験に用いたものと異るので予備実験を行い(実験群1)、照射開始後202日でI-1群は全て死亡、発がんは無かった。照射開始後376日でI-2群は全て死亡し発がんがみられた(4/11)。その他I-3,4,5群でそれぞれ2/5、2/9,3/10の発がんがみられた。 実験グループI: 1.p53遺伝子ノックアウトマウス群 ♂ 1群11匹 2.5Gy/day,3times/week 2.p53遺伝子ヘテロマウス群 ♀ 1群11匹 2.5Gy/day,3times/week 3.p53遺伝子正常マウス群 ♀ 1群8匹 2.5Gy/day,3times/week 4.C57BL/6マウス ♀ 1群10匹 2.5Gy/day,3times/week 5.ICRマウス ♀ 1群10匹 2.5Gy/day,3times/week 本年度の実験と結果: 実験グループI-1で発がん率が低かったため、実験グループIの継続と1回照射線量を5Gyにした実験グループIIを開始した。 実験グループII: 1.p53遺伝子ノックアウトマウス群 ♀ 1群36匹 5Gy/day,3times/week 2.p53遣伝子ヘテロマウス群 ♀ 1群35匹 5Gy/day,3times/week 3.p53遺伝子正常マウス群 ♀ 1群33匹 5Gy/day,3times/week 照射開始後204日でII-1群は全て死亡し発がんは無かった。照射開始後332日でII-2群は全て死亡したが高率に発がんが見られた(19/35)。II-3群では438日経過中('06/3/15)で発がんは1例にとどまる。現在p53-/-群で生存中の発がんは見られない。ヘテロ群では対照群よりでは120日(5Gy群)と80日(2.5Gy群)ほど早くかつ高率に発がんすることがわかった。p53遺伝子が半分だと放射線皮膚発がんに影響があることがわかった。p53-/-群に7.5Gyを照射群を設定し、線量と潜伏期間との関係をみている。
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