研究概要 |
本研究の目的は、廃棄物の不法投棄サイトを修復・再生するための社会技術手法を、構築することである。本研究では、実際に修復・再生方法を議論する際に不可欠な以下の(1)〜(4)の問題を解決するための手法を、社会技術手法ととらえて研究開発を行ってきた。 (1)不法投棄が生じた社会的背景や原因、責任問題、輸送経路等を明らかにするための、不法投棄事例管理ツールの開発 (2)修復・再生対策を円滑に推進するために重要な地域住民への情報発信、及び修復・再生に対する地域住民のニーズを把握するための手法の開発 (3)修復・再生対策のための住民合意や地域振興策等の社会的評価軸も考慮した総合的意思決定手法の開発 (4)技術的な視点としての数値シミュレーションを用いた修復効果予測手法の開発研究成果として以下を得た. (1)我々が実際に携わった不法投棄サイトの修復・再生事例を分析し、事例情報を一元的に管理できる手法を開発した. (2)ホームページを活用した双方向コミュニケーション手法を提案し、不法投棄現場に対して市民が求める情報ニーズに応じた情報提供を行えること,不法投棄問題に対する意識の向上を図れることを示した.また,地域住民のニーズを踏まえ、実行可能な土地利用方法を検討できる手法を開発した。 (3)多目的かつグループ(多主体)による意思決定問題に対して、ファジー理論及びANP(Analytic Network Process)を用いた総合的意思決定手法を提案した. (4)遮水壁・表面キャッピング,及び嫌気性バイオレメディエーションによる修復効果を予測することができる数値シミュレーション手法を構築した. 以上より、実際の不法投棄現場の事例研究を踏まえ、工学技術と社会技術の統合化を図りながら,不法投棄現場の環境再生に向けた修復を効率的に行うための、手法を提案することができた。
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