研究課題
これまでの研究成果により、低品位石炭、バイオマス廃棄物に硫黄固定剤として消石灰を混合して調製されたバイオブリケットは、高い効率で硫黄酸化物の排出抑制が可能であることを明らかにしている。このバイオブリケット燃焼灰は酸性土壌の中和剤として利用可能であり、酸性土壌に数パーセント混合すれば、中国重慶における平均的な人工酸性雨を長期にわたって注いでも植物の生育に適当な土壌pHを維持することが出来た。燃焼灰添加ならびに無添加土壌に人工酸性雨を滴下しながら、二十日大根をポット栽培した所、燃焼灰添加系のほうが有意に植物の生育を促す結果が得られ、これは、主として酸性土壌の中和によるpHの改善効果によるものと推定された。しかし、商品価値のあるところまでの成長には至らなかった。これまでの生育試験から、燃焼灰のみの添加はpH矯正のみで肥料効果は期待できないことがわかったので、本年度は豚糞尿堆肥を同時施用し、二十日大根の成長試験を行った。その結果、燃焼灰と豚糞尿から調製された堆肥の同時施用により、燃焼灰と化成肥料の同時施用よりも高い生育促進が観測された。同量のリン酸を施肥した化成肥料および堆肥の全P含有量には著しい差は見られなかったが、糞尿堆肥を施肥した場合に水溶性リン酸として含まれている化成肥料とほぼ同様の全P含有量が得られ、堆肥に高いP供給能力があることが示唆された。また、実験結果から、堆肥の持つキレート作用は燃焼灰由来のAl吸収を著しく抑制する能力があることが示唆された。さらに、豚飼料由来による重金属汚染も、燃焼灰による土壌pH矯正によって抑制され、燃焼灰と堆肥の同時施用による有効性を明確に示すことが出来た。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Water, Air, and Soil, Pollution 163
ページ: 341-353