研究概要 |
難燃剤の構造や種類が複雑で、環境安全管理のための基本情報が非常に少ないことや、有機臭素化合物の個別分析は難しく、時間や費用がかかるため現段階では対策の研究すらなかなか進まない状況にある。また、有機臭素化合物の毒性が有機塩素化合物と同様に強く疑われているが、今のところは法規制がないので、無秩序な焼却や埋立など野放し状態であり、安全な処理技術の確立が求められている。さらに、プラスチック難燃剤としての有機臭素化合物の使用量は、不適切な焼却処理で副次生成するダイオキシン類とは比べものにならないほど大量であり、ライフサイクルにわたる物質フローの適切な管理が求められる。そこで本研究では、臭素系難燃剤含有廃プラスチックの処理・処分について、ラボの基礎実験装置とパイロット試験装置を用いた実験研究を通じ、以下の3点を重点的に明らかにすることを目的とした。 1)廃プラスチック有害臭素の安全管理のための効率的なモニタリング手法を開発する。 2)有害臭素化合物の生成を抑制する安全な焼却条件を明確化にする。 3)実際の産業廃棄物処理装置への適用手法を検討する。 焼却処理を安全に適用するための条件として,温度や流入空気などについての各種条件での焼却実験における有害物生成に関与する各種変動要因とそのレベルを把握した。これらの実験室的に得られた結果について,産業廃棄物処理施設で使用されている実際のロータリーキルン炉における焼却条件への適用可否について検討した。
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