研究課題
基盤研究(B)
1.研究目的本研究グループでは、有機廃棄物を亜臨界により加水分解・溶解し、溶出リンを析出させて回収するとともに、溶解した有機物を高速メタン発酵によりバイオガスに変換する有機廃棄物の資源化技術の開発を行っている。ところが、亜臨界水中では、目的反応である加水分解に加えて、副反応である熱分解も同時に進行する。熱分解反応が起こると、ガス状物質・炭化物質・タール状物質及び難溶解性塩を生成し、リンやメタンの回収率を低下させるだけでなく、スケール付着による亜臨界水装置の閉塞の原因となる。本研究の目的は、亜臨界水反応における固形有機物の熱分解機構を解明し、その抑制法を確立することである。2.研究成果連続式亜臨界水装置の設計・製作:本装置(最大温度350℃、最大圧力40MPa、処理能力20mL/分)を設計・製作した。本装置は、内部配管を簡単に分解して付着したスケール量を測定できる構造とした。モデル物質を用いた有機物の熱分解機構の解明とその抑制:有機物のモデル物質として砂糖及びCa(II)-EDTA錯体の水溶液を用い、亜臨界水装置に導入して、熱分解の生成物量並びに本装置の鋼管内壁へのスケール付着状況を定量的に調べた。その結果、モデル物質について熱分解機構の概要が明らかになった。次に、副反応及びスケール析出の抑制法を検討したところ、水酸化ナトリム添加法が効果的であることが判明したので、その添加量の最適化を行った。3.今後の課題実際の有機性廃棄物として下水汚泥及び生ごみを亜臨界水装置へ導入し、副反応生成物であるガス物質・炭化物質・タール物質及びスケールの生成量を定量的に測定するとともに、アルカリ添加による副反応の抑制とスケールの抑制法の最適化を行って本技術の実用化を目指す。
すべて 2005 2004 その他
すべて 雑誌論文 (3件)
用水と廃水 47巻・2号
ページ: 150-156
環境技術 33巻・4号
ページ: 307-314
環境技術 34巻(印刷中)