研究課題/領域番号 |
16310063
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
村上 定瞭 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00035065)
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研究分担者 |
竹内 正美 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30043889)
山崎 博人 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (20300618)
今井 剛 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20263791)
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キーワード | 亜臨界水 / 有機廃棄物の資源化 / 副反応機構の解明 / 副反応の抑制 / スケールの抑制 |
研究概要 |
1.研究目的 本研究グループでは、有機性廃棄物(下水汚泥や生ごみ等)を亜臨界水により加水分解して溶解し、この溶解液中の溶出リンを析出させて回収し、次に有機物をメタン発酵によりバイオガスに変換する技術開発を行っている。ところが、亜臨界水中では、加水分解に加えて、副反応である熱分解も同時進行し、ガス状物質や炭化物質・タール状物質を生成し、亜臨界水装置の閉塞の原因となる。本研究の目的は、(1)亜臨界水における固形有機物の熱分解の機構を解明し、その抑制法の確立、(2)熱分解を抑制する安価で操作性のよい添加剤の開発、及び(3)本技術を事業化するための亜臨界装置の最適設計と運転指針の作成である。 本研究の初年度(16年度)でのモデル物質及び次年度(17年度)での実試料(汚泥及び生ごみ)を用いた亜臨界水反応における副反応の解明及びその抑制法の研究成果に基づき、最終年度である18年度において上記課題について検討し、次のような研究成果が得られた。 2.研究成果 (1)スケール対策フリーの連続運転:最適操作条件で有機性廃棄物を連続投入して連続式亜臨界装置を稼動し、スケール対策フリーの連続稼動日数を実験的に設定した。 (2)有機性廃棄物の亜臨界水溶解液からのリン回収:亜臨界水により溶出した正リン酸イオンをMAP法により晶析・回収し、汚泥及び生ごみ中リンのそれぞれの回収率を決定した。 (3)有機性廃棄物の亜臨界水溶解液のメタン発酵:熱分解抑制を満足する最適操作条件で有機性廃棄物の亜臨界水溶解液をメタン発酵して、発酵日数及びバイオガスへの変換率を確定し、プラント設計の基本指針を策定した。 (4)有機性廃棄物の資源化と経済性の総合評価:有機性廃棄物のエネルギー・リン資源の回収効率及びプラント建設・運転コストを試算し、他の資源化技術との性能及び経済性を総合的に評価したところ、本技術の事業化が可能であることが検証できた。 3.今後の課題と計画 国内の環境関連プラントメーカーと共同し、亜臨界水を中核技術とする本有機性廃棄物のエネルギー・リン回収技術の実用化とその普及を目指す。
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