研究課題
基盤研究(B)
1.研究目的本研究グループでは、有機性廃棄物(下水汚泥や生ごみ等)を亜臨界水により加水分解して溶解し、この溶解液中の溶出リンを析出させて回収し、次に有機物をメタン発酵によりバイオガスに変換する技術開発を行っている。ところが、亜臨界水中では、目的とする加水分解に加えて、副反応である熱分解も同時進行し、ガス状物質や炭化物質・タール状物質を生成し、亜臨界水装置の閉塞の原因となる。本研究では、(1)亜臨界水における固形有機物の熱分解の機構を解明し、その抑制法の確立、(2)熱分解を抑制する安価で操作性のよい添加剤の開発、及び(3)本技術を事業化するための亜臨界装置の最適設計と運転指針の作成を試みたところ、以下の研究成果が得られた。2.研究成果(1)モデル物質を用い実験結果より、有機物の熱分解機構の概要を明らかにした。熱分解の抑制法として水酸化ナトリム添加法が効果的であった。(2)下水汚泥及び生ごみに水酸化ナトリムを添加しで、その添加量と操作温度から熱分解抑制の最適操作条件を決定した。(3)有機性廃棄物からエネルギー・リン資源を回収するプラントの基本設計および運転指針の作成を行った。(4)資源の回収効率およびプラント建設・運転コストを試算し、他の資源化技術との性能および経済性を総合的に評価したところ、本技術の事業化が可能であることが検証できた。3.今後の課題と計画国内の環境関連プラントメーカーと共同し、亜臨界水を中核技術とする本有機性廃棄物のエネルギー・リン回収技術の実用化とその普及を目指す。
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