我々は、世界で初めてダイヤモンドを用いた電気化学QCM基板の開発に成功した。それは、ホウ素ドープダイヤモンド(以下BDDと略す)QCM電極をリフロー(最熱処理)法により作製するもので、この斬新なEQCMセンサーはいくつかの電気化学の実験条件でまったく安定しており、このようなダイヤモンド-QCM電極を用いて、酸性溶液中のダイヤ表面の水素発生、酸素発生および表面酸化反応を検討することによって、電気化学的なmicro gravimetryツールとしての有用性を確認するにいたった。その質量感度は48.1Hz cm2/μgと算出でき、これは、理論値に対して約2%低いものであるが、充分な質量感度が期待できるものであった。 そこで、本研究2年間の目的として、我々が開発したダイヤモンドEQCM技術を上記、DNAの電気化学的検出法に代替させることを試みる。QCMによりDNAの結合情報を直接質量変化として捉え、フェロセン等の電気化学マーカーを必要としない、より正確なDNAチップの開発を目指した。 本年度は、 (1)ホウ素ドープダイヤモンド(以下BDDと略す)薄膜の作製については、マイクロ波プラズマCVD法を用いる。 (2)BDD-QCM電極をリフロー(最熱処理)法により作製する。このようなダイヤモンド-QCM電極を用いて、電気化学的なmicro gravimetryツールとしての有用性を確認した。 (3)ダイヤモンド表面のカルボキシル化・アミノ酸修飾 水素終端化したボロンドープダイヤモンド表面を改質することで、DNA分子や光学活性なアミノ酸分子を固定化した修飾電極の作成ならびに応用を目的とし、ボロンドープダイヤモンドの新規機能性を目指す。まず最初に、水素終端化したボロンドープダイヤモンドの表面改質を行う。水素終端化されたボロンドープダイヤモンド表面を塩素ガスにより塩素化し、つづいてアンモニアガスにより置換させてアミノ改質ダイヤモンドとする。このアミノ改質ダイヤをジカルボン酸であるコハク酸と水溶性カルボジイミドとN-ヒドロキシスクシンイミドの水溶液に浸漬し、ダイヤ表面にカルポキシル基を導入する。その後洗浄乾燥を行い。L-フェニルアラニンのアミノ酸水溶液にダイヤを浸漬したものをアミノ酸修飾ダイヤモンドとする。それぞれの特性評価としてXPSを用いて分析を行った。
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