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2005 年度 実績報告書

トンネルアシスト・ナノ光反応

研究課題

研究課題/領域番号 16310069
研究機関東京大学

研究代表者

長谷川 哲也  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10189532)

研究分担者 島田 敏宏  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (10262148)
一杉 太郎  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90372416)
キーワードSTM / フラーレン / 重合反応
研究概要

MBE法を用いてHOPG(0001)基板上に堆積したフラーレン単結晶薄膜を対象とし、走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針によるフラーレン分子の脱離、ならびに重合を試みた。
1)脱離反応
サンプルバイアス(Vs)3V、トンネル電流(It)50pAの条件で繰り返し測定したところ、フラーレン薄膜からC60分子の脱離が観測された。様々なVsにおいて脱離するC60分子の個数を調べたところ、Vs=2Vを閾値とし、それ以上のVsで脱離反応が起こることが判明した。また、Vsの増加に伴い脱離分子数は増大した。C60分子はフェルミエネルギーから2eV離れた所にLUMO+1(LUMOの一つ上の軌道)が存在することから、LUMO+1の波動関数と探針の波動関数との重なりにより結合性軌道を作り、C60が脱離するものと考えられる。
2)重合反応
Vs=2.5V、It=50pAの条件において繰り返しスキャンしたところ(室温)、C60分子が暗く観測される部分が出現した。これは、トンネル電流により、最表面のC60分子と第2層のC60分子が結合し、分子間距離が短くなったためと理解できる。また、重合した分子には内部構造が観測され、C60分子の回転が停止していることを意味している。
トンネル電流によりC60分子の結合が起きる閾値は2.3eVであったが、この値は光重合の過程で起こる電荷移動(CT)励起子過程に必要な2.4eVよりも小さい。従って、隣接する2つのC60分子の片方のLUMO軌道にトンネル電子が入り、C60分子間の結合が起きるものと推察される。また、低温(77K)においても同様の実験をVs=-3VからVs=3VまでVsを変化させて測定したが、結合生成、脱離ともに観測されなかった。77Kでは、C60分子の自由回転が停止していることが知られており、上記反応がC60分子の自由回転と関係していることを強く示唆する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 その他

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Direct Determination of Localized Impurity Levels Located in the Blocking Layers of Bi_2Sr_2CaCu_2O_y2005

    • 著者名/発表者名
      G.Kinoda, H.Mashima, K.Shimizu, J.Shimoyama, K.Kishio, T Hasegawa
    • 雑誌名

      Physical Review B 71

      ページ: R020502

  • [雑誌論文] Electronic inhomogeneity of heavily overdoped Bi_<2-x)Pb_xSr_2CuO_y studied by low-temperature scanning tunneling microscopy/spectroscopy

    • 著者名/発表者名
      H.Mashima, Y.Matsumoto, G.Kinoda, T.Kondo, H.Ikuta, T.Hitosugi, T.Hasegawa
    • 雑誌名

      Physical Review B (印刷中)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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