研究課題
ストロボスコピック・プローブ顕微鏡の完成に向けて、標準試料を用いた性能解析を行った。p型Si(111)7×7表面は、光照射により約50meVの表面光起電力を生じることが知られている。もともとフェルミ準位の近くに表面準位が位置することから、表面における外部電界の影響が小さく、試料-探針間にバイアス電圧をかけても、表面光起電力の大きさはほとんど変わらない。そこで、この試料を用いて、時間分解性電気力測定時における試料-探針間の電界とカンチレバー振幅、周波数シフトの関係を調べた。一般に、探針が試料に非接触の条件では、試料にかけるバイアス電圧を大きく変化しても振幅は変化しない。ところが、試料表面への光照射をカンチレバーの振動と同期して行うと、振幅は大きく変化し、カンチレバーの振動周期と光照射の位相と振幅の間の関係は、バイアス電圧の符号により反転した。つまり、光照射時に試料-探針間電位差が増加するバイアス電圧では、探針が接近時に光照射すれば振幅が増加し、遠ざかるときには振動抑制に働く。光照射時に電位差が減少するバイアス電圧では、位相関係は反転する。さらに、フィードバックを凍結して、周波数シフトの変化を見れば、光照射とカンチレバー振動の位相関係はさらに鋭敏に反映されることがわかり、1μ秒レベルの時間分解能で、時間分解光誘起静電気力検出が可能であることがわかった。また、振幅や周波数シフトの位相変化を詳細に調べると、光照射の効果が全く現れない、不感位相が存在することがわかった。位相を360度変化させた中で2回現れることから、カンチレバー振動の折り返し点であると推定される。この位相の前後では、試料-探針間の引力の変化に対して、振幅の増加にも減少にも寄与しないことが明らかになった。
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