研究課題/領域番号 |
16310078
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
徳本 洋志 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40357562)
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研究分担者 |
岡嶋 孝治 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70280998)
畔原 宏明 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (00374653)
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キーワード | カーボンナノチューブ(CNT) / CNT-AFM技術 / CNTの化学修飾 / 低侵襲AFM画像技術 / 化学結合力AFM技術 / 単一分子計測 / 透過電子顕微鏡 |
研究概要 |
単一細胞の内部構造を計測するAFM技術を開発するため、形状イメージングおよび挿入実験に耐えうる接着強度を有する多層カーボンナノチューブ(CNT-)AFM探針技術・低侵襲AFM技術の開発した成果を下に、今年度は細胞を模擬する人工脂質2分子膜(DMPC:demyristoryl phosphatidyl choline)をマイカ基板上に作製し、金コートシリコン探針と昨年度確立したCNT探針の両者を用いて挿入実験(力-距離曲線計測)を行った。前者では探針を膜に押し付ける過程ではある圧力下で2分子膜を挿入(膜破壊)、膜から抜ける過程では吸着力を示す様子(膜修復)が明瞭に観測された。一方、CNT探針では振る舞いが複雑になり探針を押し付ける過程で一度斥力を示したあと緩和し、その後再び斥力を示し明瞭な挿入過程を示す振る舞いを示さなかった。この複雑な振る舞いは、実験の過程でCNT探針先端にもDMPC分子膜が付着形成され、基板分子との間でいわゆるHemifusionと呼ばれる現象が起こっているものと想像している。 単層および二層CNTの精製・切断・分散化などを行い、STEM、AFM、光吸収で孤立したCNTの長さなどを計測すると共に、液体クロマトグラフィーにより長さの選択をおこない、更に、そのCNT両端を金コロイドで修飾付着させる実験を行った。プロセスそのものは順調に進んでいると考えられるが、STEM・AFM評価では測定試料の準備段階で周辺に浮遊するごみの付着などに問題があることが明らかになった。そのため、化学結合力(分子認識)AFM技術を用いて評価した。先端をCOOH基で化学修飾したMWNT探針、μコンタクトプリンティング法で二成分(親水部と疎水部)からなる標準膜を作製し、摩擦力・吸着力・雰囲気pH濃度依存、などを詳しく計測し、CNT探針の先端がCOOH基で終端されていることを確認した。
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