研究課題/領域番号 |
16310084
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 まどか 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40287975)
|
研究分担者 |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
渡邉 順司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60323531)
|
キーワード | 生体分子認識 / ナノ流路 / バイオチップ / 表面電位 / 生体適合性ポリマー / 絶縁薄膜 / 微細加工プロセス / シリコン |
研究概要 |
本年度は、シリコン基板を用いた分子認識チップのプロセス技術の確立、バイオ分子と材料界面の相互作用を評価することを目的として、種々の生体適合性バイオマテリアルの新規合成を行い、細胞やたんぱく質の吸着特性の評価を行った。分子認識バイオチップの基本構造は、ソース、ドレイン間のある特定の部位に、ナノメートルサイズの流路が形成され、このナノメートルサイズの流路を流れる物質の電流値を測定することにより、分子認識を行うデザインである。シリコン酸化膜表面電位の制御は、裏面から印加するゲート電圧を制御することにより行い、表面電位の異なるナノ領域部位を流路内に複合化することにより、電荷状態の異なる分子の認識が同時に可能となると予想される。このようなシリコン酸化膜の表面電位の制御を行う分子認識チップを作製するにあたり、ナノ加工技術の確立、およびより耐圧の高い、つまり欠陥の少ないシリコン酸化膜をもつチップ作製条件について検討を行った。その結果、シリコン酸化膜は、アルカリ溶液だけでなく、バイオ分子の生存環境である中性領域においても、エッチングされるため、欠陥密度が低い酸化膜を用いても、また、ゲート電圧の印加の有無に関わらず、ソース、ドレイン間測定電流値の不安定性を引き起こすことも問題であることがわかった。従って、バイオ分子測定のための、最適酸化膜、例えば、酸化膜の下地層として窒化膜を用いる等の酸化膜構造と、それに適応した微細加工プロセス技術の確立が必要であることがわかった。また、DNAをモデルバイオ分子として取り上げ、DNAの塩基対の異なる分子をこのような、裏面ゲートからの印加電圧の変化により、ナノ流路を流れる電流を測定することで、分子認識が可能であるか検討を行った。この測定において、ナノ流路をDNAが一分子ずつ流れることが条件となる。しかし、ナノ流路材料表面、ここでは、シリコン酸化膜の表面にDNAが付着し、再現性のある結果は得られなかった。そこで、流路内壁に生体分子との相互作用の少ないつまり、生体適合性に優れるポリマーにより表面修飾したナノ流路を用いて、DNAの電気泳動実験を行つた。その結果、材料表面への付着は抑制され、再現性に優れる測定が可能となった。
|