研究概要 |
・HAP1-49Kフラグメントの構造解析を終了し、フック-フィラメント間カップリングジョイントを形成する全ての蛋白質のD0ドメインを除く結晶構造が明らかになった。HAP1とHAP3には、べん毛繊維を形成するフラジェリンD1ドメインと共通の構造かみつかった。そのため、既に明らかになっているべん毛繊維の原子構造の細胞質側をHAP1およびHAP3で置き換えることでHAP1からべん毛繊維に至る原子モデルを構築することができた(投稿準備中)。また、ブランダイス大学のDeRosier教授のグループにより得られた低温電子顕微鏡法によるフック繊維の低分解能密度図に、既にX線結晶構造解析に成功していたフック32Kフラグメントの原子構造をあてはめ、フック繊維の原子モデルを完成した(Nature,431)。このフック繊維モデルと先のHAP1-べん毛繊維モデルを互いの素繊維構造を保つように合わせたところ、両者をぴったり接合できた。接合部の特徴から、力学特性の異なるフックとべん毛繊維をつなげる機構モデルを提出した(投稿準備中)。 ・ロッド蛋白質FliE,FlgB,FlgC,FlgF,FlgGのうち、FlgGフラグメントについて溶解度の大きい高純度サンプルが大量に得られるようになった。結晶化を行っているが、解析に適した結晶は、まだ得られていない。 ・HAP2-HAP3複合体にHAP3特異的シャペロンのFlgNを添加することで、HAP2-HAP3-FlgN複合体を安定して分離することができた。HAP2-HAP3複合体には、HAP3部末端に溶液中で決まった構造をとらない領域が存在するため、結晶化が困難であった。しかしこの複合体は、、FlgNがこの領域に結合して安定化するため、結晶化に適している。
|