・クエン酸ナトリウム存在下4℃に置いた精製済みフックフィラメントに、精製したロッド構成タンパク質FlgGを加えると、FlgGがフックの細胞側末端に重合して逆方向に伸びることを見出した。つまり、フック-FlgGロッド複合体を人工的に再構成することに成功した。これにより、電子顕微鏡法によるフック-ロッド間のジョイント構造の解明が可能となった。また、ロッド全体を逆伸長法により再構成し、単離精製が難しく困難を極めている全ロッドの構造解析に道を開くことができた。 ・最近、ユタ大学のKelly Hughesらのグループが異常に長いFlgGロッドを構成するミュータント発見した。このミュータント株から、FlgGロッドを含む基部体の単離精製に成功した。そして、この試料の極低温電子顕微鏡像を撮影し、個々のロッド像のフーリエ変換を行ったところ、らせん対称性を示す層線を確認できた。これにより、らせん再構成法によるFlgGロッドの電子顕微鏡による高分解能構造解析が可能となった。 ・べん毛先端のキャップ複合体を構成するHAP2について、これまでに3.0Å分解能の回折を示す結晶を得ていたが、新たにSe-Met置換体を作成・精製・結晶化したところ、同様の条件で結晶を得ることができた。この結晶を用いてSeの吸収端波長における異常分散回折データーを2.9Å分解能まで収集することができた。異常分散差パターソン図には、Se由来と思われる多数のピークを確認できた。しかし、X線照射損傷が大きいため、構造解析にはさらに回折データーを収集する必要がある。
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