研究課題/領域番号 |
16310089
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
内藤 正路 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60264131)
|
研究分担者 |
生地 文也 九州共立大学, 工学部, 教授 (00093419)
遠山 尚武 九州工業大学, 工学部, 助教授 (10039117)
楠 美智子 財団法人ファイナンスセラミックスセンター, 主席研究員 (10134818)
|
キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / カーボンナノチューブ / 表面変性 / シリコンカーバイド / 表面構造 / レーザー照射 / 自己組織化 / イオンビーム照射 |
研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)に関連した研究は、その物理的、化学的な性質を解明しようとする基礎的観点と電気素子としての応用的観点の双方から、数多くなされている。CNT生成方法の一つであるSiC表面分解法が共同研究者の楠により発見された。この方法ではSiC(000-1)C面を低真空中でアニーリングすることにより高密度のCNTが形成される。さらに興味深いことに、SiC(0001)Si面(C面の裏側)ではCNTは生成されずグラファイト層が形成される。しかしc面でのCNT生成メカニズムやなぜSi面ではCNTができずグラファイト層ができるのかはまだわかっていない。そこで本研究では、SiC(000-1)C面上でのCNT生成メカニズムの解明を目指す。さらにSiC表面をレーザー照射やイオンビーム照射により表面変性することにより、CNTの自己組織的な生成制御を試みる。 本年度は、SiC表面構造がCNT成長に及ぼす影響について透過型電子顕微鏡(TEM)と走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて研究を行った。SiC(000-1)Cを低真空中で1700℃、1時間アニールする前に、超高真空中で1050℃、30分間アニールを行った場合には、CNTの成長は見られず数層のグラファイトが成長していることがTEM観察によりわかった。しかし、超高真空アニール温度が1200℃の場合にはCNTが成長した。超高真空アニール時の表面形態をSTM観察したところ、1200℃の場合はSiC表面にdomain間にcap構造を持ったグラファイト層が形成されていることがわかった。このcap構造はCNTの先駆体であると考えられる。1050℃の場合には、欠陥のほとんどないグラファイト層が観察された。これは、cap構造が形成されていないため、この後低真空アニールを行っても、CNTの先駆体となるものがないためCNTが成長しなかったのではないかと考えられる。
|