研究課題/領域番号 |
16310094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 株式会社豊田中央研究所 |
研究代表者 |
稲垣 伸二 株式会社豊田中央研究所, フロンティア研究部門・稲垣研究グループ・リーダ, 主席研究員 (30374086)
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研究分担者 |
後藤 康友 株式会社豊田中央研究所, フロンティア研究部門, 研究員 (80394790)
大谷 修 株式会社豊田中央研究所, フロンティア研究部門, 客員研究員
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キーワード | メソポーラス物質 / 有機無機ハイブリッド / 発光材料 / 蛍光色素 / 量子収率 / 有機基 |
研究概要 |
今年度は、研究代表者が既に報告したビフェニル基を含むメソポーラス有機シリカの(1)発光機構の解明と(2)新規発光性メソポーラス物質の合成の2点を重点的に取り組んだ。発光機構に関しては、有機基の配列構造と発光強度との相関性、そして蛍光量子収率の決定を行い、有機基の特異な配列構造の形成により、ビフェニル基が高濃度状態でも高い量子収率(0.5)を示すことが明らかになった。試料は4,4'-Bis(triethoxysilyl)biphenyl原料から、界面活性剤の存在下でのゾルゲル法により調製した透明薄膜(厚さ:500nm)を用いた。ビフェニルシリカの量子収率(0.5)は、ビフェニル分子の量子収率(0.2)より2.5倍も高い。ビフェニル基間の相互作用、あるいはビフェニル基に直接結合したSiからの電子的影響により、高い量子収率が得られたものと推察する。更に、細孔内に別の蛍光色素(クマリン)を導入することで、細孔壁内のビフェニル基の励起エネルギーが色素に移動して、蛍光色素が効率的に発光することも分かった。ビフェニル基の発光が完全に消光していることから、ほぼ100%のエネルギー移動が起こっていると考えられる。 一方、新規発光性メソポーラス物質の合成に関しては、フェニルとビフェニル基以外に、新たにターフェニル、ナフタレン、アントラセンを導入したメソポーラス物質を合成した。まず、メソポーラス物質の原料となるジアルコキシシリル体を合成した(奈良高専との共同)。これらの原料と界面活性剤との反応により、上記の有機基を含む新規メソポーラス物質を合成した。これらのメソポーラス物質は、ビフェニル(吸収:270nm、発光:370nm)よりも長波長に吸収(300-400nm及び発光(400-500nm)を示すことが確認された。
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