研究課題
基盤研究(B)
本研究ではπ共役系高分子をエピタキシャル的に気相重合することによって、一次元的な電子状態を持つ共役系高分子が基板に対して垂直に配列したπ電子系ナノロッドの実現を目指すことを目的として研究を実施した。その結果、以下の知見が得られた。π共役系高分子を与えるジアルデヒド基を有するモノマーをアミノ基終端したSi(111)1x1基板と反応させることで基板のアミノ基と分子のアルデヒド基が反応し基板に対して垂直に固定化されることが分かった。一方、π共役系高分子のもう一つのモノマー(Diaminoterphenyl)の場合には、超高真空中で清浄なSi(111)7x7基板上と反応させることで、モノマーがSi(111)7x7の特定の原子位置と反応し垂直に固定化されることが分かった。これらの結果は、シリコン基板と直接有機物を固定化する手法として新規な手法であり有機/無機ハイブリッドデバイスの構築に際して基盤となる重要な技術である。しかしながら、シリコン基板を用いた場合には、有機分子からの発光は観測されないことが分かった。これは有機分子の励起状態がシリコン基板へのエネルギー移動によって消光された事が考えられ、本研究が目指すπ電子系ナノロッドを用いた発光デバイスを実現する上で大きな障害となる。この問題を解決する為にシリコン基板を透明酸化物電極(ITO)に変更し、ITO基板上にπ共役系高分子を気相重合法で作製したところ、共役系高分子からのエレクトロルミネッセンスをはじめて観測する事に成功した。この結果は、本研究が目指す量子デバイスを構築する為には、酸化物電極上での配向制御を実現することが不可欠で有るという今後の研究展開にとって重要な指針が得られた。そこで、この知見を更に展開し、(1)低分子蒸着膜を用いた有機EL素子における酸化物電極表面の修飾による高効率化方法、および(2)有機薄膜太陽電池の界面制御方法について研究を進めた。その結果、ITO電極から有機EL素子のへ障壁のないキャリヤ注入方法を確立し、有機薄膜太陽電池における開放電圧の制御に有効な新規な材料系を見出すなど当初の研究計画を越えた成果が得られた。
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