研究概要 |
本年度の研究実施計画に概ね従って以下のとおりの実績を得た. 1.巨大リポソーム調製法の開発・改良に関して,従来に例のない手法による微小脂質ドメイン形成に成功し,このドメインを利用した交流電場法による巨大リポソーム形成について検討をおこない,今後の改良にあたって手がかりとなる重要な知見を得た.また,交流電場法における巨大リポソーム形成部位と電極位置との関係について検討をおこない,今後の展開につながる有用な新知見を得た.さらに,電場の種類が巨大リポソーム形成状況に与える影響について検討をおこなった. 2.巨大リポソームの安定化手法の開発に関しては,安定性の評価において必要となるマイクロマニュピレータを利用したリポソーム強度評価・測定システムの構築をおこなった. 3.異種材料へのリポソームの固定化については,引き続き高分子ゲル粒子表面への巨大リポソーム固定・複合化について検討をおこなった.またリポソームとの複合化のため,プラスティックなど多様な異種材料表面の修飾をおこなうためのシステム構築を試み,予備的な結果を得た. 4.リポソームの組織化.基板表面における巨大リポソームは位置制御・組織化のためのマイクロドメイン形成に必要となるシステムの構築をおこない,予備的な結果を得た. 5.化学システムの構築に関して,マイクロマニュピレータおよびマイクロインジェクタ等を用いて化学システムの構築に必要な種々の物質の巨大リポソーム内水相へ導入するためのシステム構築をおこなった.また,巨大リポソームへの自発的な物質導入において,巨大リポソームの形成方法・状況が導入の可否に大きく影響する事を示す結果を得た.
|