研究概要 |
1.物性の異なる各種液体とディスペンシングに適した流路構造およびその操作性の関係の解明 PDMSを材料として提案したマイクロチャネルネットワークを作製し,実際に数十ナノリットル〜数十ピコリットルの微量液体を正確に枝の数だけ並列的に秤取することが可能であることを示した。続いて,その秤取原理を明らかにするために,界面張力,接触角,粘度等の異なる種々の液体に対してディスペンシグを行い,操作圧力,秤取時間,再現性,繰り返し使用の可否等について検討を行った。その結果,濡れにくい液体(接触角が90度以上)では,秤取の際に,細いチャネルの入り口で液体が止まっていたのに対し,接触角が90度以下の濡れやすい溶液では細い流路の出口で止まっていることが明らかになった。このことから,このディスペンサー構造は接触角に拠らずに液体を秤取できる可能性があると考えられた。しかしながら,出口でのバルブ機能は,出口付近の構造や加工精度に強く依存することが示唆されたため,異なる構造を用いた秤取も試みている。また,秤取液体の分割やスラリー状物質の秤取などの応用も試みている。 2.各種表面処理による界面物性の変化が液体操作(ディスペンシング)に与える影響 PDMSの表面物性を変化させるために,酸素プラズマ照射,UV照射,酸処理,種々のシランカップリング剤による処理を試みた。その結果,ジメチルオクタデシルシランによる修飾により,安定な気液二相系が構築できることが示された。また,微粒子をウェルに充填することによって流路表面の局所を修飾するという新規な手法も提案した。 3.PIV解析による流路内の流動計測 操作液体に蛍光微粒子(サブミクロン〜ミクロンオーダー)を混ぜて,その挙動を顕微鏡下で高速度カメラ追跡することにより,流線および流速の流路内でのプロファイルを明らかにできることが示さ,ディスペンサーにも適用を試みた。
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