研究課題/領域番号 |
16310105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
KNELLER ROBERT 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20302797)
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研究分担者 |
WALSH John P. 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任教授) (10345134)
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キーワード | 産学官連携 / バイオベンチャー / イノベーション / 製薬産業 / 薬品開発 / 技術移転 / 知的財産権 / TLO(技術移転機関) |
研究概要 |
[研究の概要] 停滞している日本経済を回復するために、産業におけるイノベーションと研究開発の必要性はますます重要になっている。しかしながら、イノベーションがおきる形態に関しての体系的な分析や日本と海外の状況を比較した研究はほとんど行われてきていない。本研究は、日本、ドイツ、アメリカにおける研究開発とイノベーションとの関係を比較分析することにより、現在の日本が置かれている立場を客観的に分析、考察する。 [研究経過および成果] 日本の大手製薬企業がベンチャー企業との提携にどの程度依存しているかについて調査を行った。その結果、日本企業の研究開発活動は基本的に自前主義であり、ベンチャーが重要な役割を果たしている例はほとんどないということが分かった。それに対して欧米企業の研究開発は、ベンチャーからの技術導入抜きでは成り立ち得ない。 ベンチャー企業などの技術力に依存しないという日本の製薬企業の自前主義は、これまではうまく機能してきたといってよいだろう。メバロチンやアリセプト、ベイスンなど、世界的なブロックバスターをいくつも生み出している。研究開発費を考慮すると、欧米メガファーマに比べて極めて効率よく製品を生み出しているといえるだろう。 しかし、これからも同じ方針で競争力を維持できるだろうか。最大の問題は、医薬品の研究開発に必要な技術は複雑で高度になる一方で、大手といえども1社だけでカバーするのは不可能となってきた点だ。だから欧米では、大手とベンチャーが役割分担をしながら研究開発を推進するのが当たり前になってきている。日本企業が自前主義を貫こうとしても、もはやそれでは必要な技術を揃えられなくなってきている。
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