研究概要 |
本研究では、まず初期想定異常から、特定の機器までの異常伝播を推論エンジンが検索するために必要となる状態伝播についての知識情報の表現方法を検討した。機器クラスごとに、プロセス状態変数の伝播論理を持たせ、プロセス構造情報と状態変数伝播論理を独立させた。プロセス構造情報に現れる機器インスタンスをクラス分けし、クラスレベルでプロセス構造情報とプロセス状態変数伝播論理をリンクするようにしたことで、プロセス構造情報の種類やレベル(PFD、AFP-P&ID、AFC-P&IDなど)に関係なくプロセス状態変数伝播論理をプラント間で交換することが可能となった。また、過去に起きた事故事例情報を、プロセス状態変数伝播論理として蓄えると、事故を起こしたプラントの事例情報を、プロセス構造情報の異なる他のプラントと交換することが出来ることを見出しており、これにより事故事例の知識化、伝承の可能性を広げたと考えられる。 更に、プロセスハザード解析の結果を、独立防御階層設計との明示的なリンクを可能とするための、プロセス状態変数の伝播論理、リスク評価モデルの充実を行うとともに、ライフサイクル全体での安全管理を目的として、全ての潜在危険性に対して整合性の取れた対策案を立案するための仕組みについて検討を行った。独立防御階層設計のアクティビティモデル構築し、プロセスハザード解析(HAZOP)と独立防御設計の関係を明確にした。通常HAZOPにおいては、潜在危険導出、評価、その対策を、各初期事象に対して検討してゆくが、HAZOPと独立防御階層設計を明示的にリンクするためには、HAZOPの潜在危険の導出・評価の部分と、対策立案を明示的に分離することが必要不可欠であることを見出している。以上の研究結果は、17th International Congress of Chemical and Process Engineering 27-31, August 2006 (CHISA 2006), Prague-Czech Republicで発表し、KES2007 11th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems, Vietri sul Mare, Italy 12-14 September 2007にて発表を予定している。
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