研究概要 |
火災時に発生する,熱,煙および燃焼生成物等の流動拡散の推進力となる火災プリューム性状に関する研究は,単一火源でしかも無風下(自然換気時)における性状に注目してきたため,有風下の火炎形状やプリューム性状に注目した研究は少ない。そこで本研究では,有風下における基本的な火災プリューム性状を把握するために,単一火源上に形成される火災プリュームの拡がり幅,温度・速度の減衰性状およびトラジェクトリーに注目した実験を実施した。 模擬火源には,プロパンを燃料とした直径0.2mの円形ガスバーナーを使用し,発熱速度と横風速度をそれぞれ4段階変化させた。火源風下側の温度場は熱電対にて3次元的に計測した。 火災プリュームのトラジェクトリーは,その主軸位置に対して,水平方向および鉛直方向にそれぞれ±3.5%,±10%程度,時間的に変動するが,準定常状態における平均温度を用いて作成した各等温度線の先端を繋げた帯曲線として表すことができる。そこで発熱速度および横風速度の関数として表現した変数を組み込んだロジスティック関数を適用することにより,横風の影響を受けた火災プリュームのトラジェクトリー予測モデルを提案した。 さらに火災プリューム主軸位置とその温度を基に,主軸位置から主軸温度の1/eとなる温度が出現する位置までの距離として火災プリュームの温度幅を定義し,この温度幅と火源からの距離の関係およびそれに及ぼす横風速度の影響を検討した。その結果,横風の影響を受けた火災プリュームの断面形状は,火源近傍では床面側に膨らんだ断面形状を示し,その後火源から遠ざかるにつれて水平方向に膨らんだ楕円形状に遷移することが明らかとなった。
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