研究分担者 |
堀 宗朗 東京大学, 地震研究所, 教授 (00219205)
寺田 賢二郎 東北大学, 工学研究科, 助教授 (40282678)
柄谷 友香 名城大学, 都市情報学部, 助教授 (80335223)
古川 愛子 九州大学, 工学研究院, 助手 (00380585)
小野 祐輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (00346082)
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研究概要 |
本研究では,建物の地震時挙動や各種構造物の被害推定,地下空間内の群集の避難行動推定という一連のシミュレーション技術を開発し,これを人に分かりやすい知見として提供することによって,それが来るべき大地震の防災・減災対策促進へのインセンティブになるようなシステムの構築を図った.また,単なる住宅の耐震改修促進を図るだけでなく,実現した住宅の質を確認出来ない「事後確認の困難性」の問題に着目し,住宅性能に関する情報の非対称性が及ぼす影響について分析した.さらに地震リスク低減戦略の策定のために,復興の長期的過程を定量的かつ多側面から捉え,今後の災害対応の有用な情報の蓄積に向けて,阪神・淡路大震災後10年間の神戸市における復興過程を定量化し,今後起こりうる災害対応時の一つの判断材料に資する検討を行った. 地震防災を問題解決という実際に役立つ形で展開するには,従来の「耐震」や「防災」というような枠組みの中での研究では十分でなく,分野横断型の協力体制の下に研究を展開する必要がある.本研究では,構造物単体として扱ってきた従来の考えから,よりグローバルな地域全体としての防災という考えにシフトさせている.多様体・複合体としての面的な広がりをもつ構造体として都市防災を捉えるとともに,復興の長期的過程を定量的かつ多側面から捉えて地震リスクの低減戦略を検討するための方法論を提示し,震災情報を一般の人にもわかりやすい知見として提供するシステムの構築を図った.また,それを構造面の安全性という見地からの工学的利用目的だけでなく,災害時の避難行動予測に基づく避難誘導システムの展開や建物倒壊挙動シミュレーションに基づく耐震改修インセンティブの喚起などに資する成果を提供することを念頭に置き,社会・経済的な枠組みの中でのリスクマネジメント手法として提示した.
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