研究概要 |
本研究では,病院機能評価の評価項目とISO9001の互いの利点を生かして統合し,医療の質向上が効率的に進められるような医療の質マネジメントシステムを構築することを目的とする.そして,それを実際の病院に適用し,医療の質向上,業務の効率化にどの程度有効かを明らかにする.今年度は,昨年度作成した統合質マネジメントシステムの原案を2病院に適用し,原案の検証と問題点の洗い出しを行った. まず,日立水戸総合病院において新しいシステムの教育を行い,システムに基づく活動を開始した.内部監査,マネジメントレビュー,方針管理検討会など,質マネジメントシステムのプロセスのチェックを行う会議体に参加し,業務上どのような問題が発生しているかを把握した。また,文書の改訂件数、インシデントレポートの件数などの質の評価指数に関するデータを収集し,改善効果を把握した.インシデントの報告内容や文書の改訂件数については,改善効果が出ていることがわかった.インシデント件数は,来年度以降にその効果を見る必要がある.方針管理については目標未達のものがあり,方針管理の仕組みの改善が必要である.文書体系および文書管理は提案した方法で問題がないことが確認できたので,来年度は対象範囲を広げて文書体系の確立を行う. 麻生飯塚病院においても,提案した統合質マネジメントシステムに基づくシステム構築を開始した.導入のための勉強会の実施,文書の調査,事故報告書の調査等を行った.現在は,主要な8つの業務プロセスを中心に文書の整備を行っている段階であり,提案システムの導入が特に大きな問題はなく進行している. 以上の分析から,提案システムは有用ではあるものの,いくつかの問題点があることがわかったので,来年度はその改善を行って,医療の質マネジメントシステムのモデルを完成する予定である.
|