研究分担者 |
鏡味 洋史 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (70016476)
高井 伸雄 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (10281792)
岡田 成幸 名古屋工業大学, 大学院社会工学専攻, 教授 (50125291)
石川 博之 独立行政法人, 寒地土木研究所・寒地基礎技術研究グループ, 室長 (70414167)
佐藤 京 独立行政法人, 寒地土木研究所・寒地基礎技術研究グループ, 研究員 (30414171)
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研究概要 |
2003年十勝沖地震は,日本列島に展開された強震観測ネットによって初めて観測されたM8クラスのプレート間大地震で,本震及び余震による強震データが近代的な強震計によって大量に得られた。ここでは,これらのデータを用いた3年間の研究成果を簡単にまとめる。 1 広域における強震動特性 地動の最大加速度(PGA),最大速度(PGV),速度応答スペクトルの空間分布及び距離減衰関係の検討から,これらのパラメータの空間分布及び距離減衰関係が周期に応じて大きく変わること,さらに,周期に応じて震源,伝播経路,サイト特性の現れ方の異なることがわかった。例えば,固有周期0.1secの速度応答値の距離減衰関係は,サブダクションゾーン下のS波の減衰構造(つまり,伝播経路特性)を反映しているが,固有周期が20secのそれは,震源からの地震波の放射特性(つまり,震源特性)を反映している。 2 サイト特性 各地のサイト特性は,上記パラメータの空間分布において周期に応じた局所的な異常として現れる。例えば,勇払平野,石狩平野,サロベツ原野などの大きな堆積盆地では,長周期の盆地転換表面波が強く励起されている。本震による苫小牧や石狩湾新港での石油タンクの被害は,この波によるものである。 3 地盤の非線形応答特性 強震動による地盤の非線形応答が震源近傍の多数の地点で抽出された。通常は,この非線形応答によってPGAが線形応答時よりも減少されるが,最大余震時の浦河K-NETにおける加速度記録は,スパイク状の特異な波形を示し,そのPGAが線形応答時よりも増大されていることがわかった。 上述の大量のデータを解析する強震動の特性評価に力を注いだため,その予測に関する研究まで十分に手が回らなかった。しかし,強震動予測に地盤の非線形応答を考慮すべきという重要な知見を得た。
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