メダカ及びその近縁種をもちいた比較マッピングによって、現在までにメダカ、ハイナンメダカ、ルソンメダカ、メコンメダカ、ジャワメダカ、ハブスメダカ、インドメダカ、タイメダカの性染色体と性決定様式が明らかとなった。 メダカとハイナンメダカは連鎖群1(LG1)が性染色体であり、XX-XY型の性決定様式を持つ。ルソンメダカの性染色体はメダカのLG12と相同であり、その性決定機構はXX-XY型であった。メコンメダカではその性染色体はメダカのLG2と相同であり、その性決定機構はXX-XY型であった。ジャワメダカの性染色体はメダカのLG16に相同であるが、性決定の機構はZZ-ZW型を示した。ハブスメダカの性染色体はメダカのLG5に相同であり、その性決定機構はZZ-ZW型であった。インドメダカではメダカのLG10に相当する染色体が性を決定すると共に、その性決定機構はXX-XY型であった。これらの種の系統関係はメダカ ハイナンメダカ ルソンメダカ メコンメダカが単系統(両腕型染色体グループ)を示す。またジャワメダカ ハブスメダカ インドメダカ及びタイメダカも単系統(単腕型染色体グループ)を示す。インドメダカを除き単腕型染色体グループの種はZZ-ZW型性決定様式をとることや、その姉妹群である両腕型染色体グループの種では、現在知られているすべての種がXX-XY型の性決定機構をもつことを考えると、すくなくとも単腕型と両腕型染色体グループの共通祖先はXX-XY型の性決定機構を持ち、2っのグループが分岐した後、単腕型の中でジャワ-ハブスメダカの系統においてZZ-ZW型の性決定機構を持つ系統が現れ、現在に至るのではないかというシナリオがみえてきた。ハブスメダカ性連鎖マーカーをもちいてフォスミドライブラリーをスクリーニングし、ハブスメダカ性染色体をFISH法で同定したところZ染色体とW染色体は異形性を示すことが明らかとなった。これはメダカ属では初の報告である。グローバルなシンテニーに関してはメダカ属では染色体レベルで良く保たれていた。
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