研究課題
基盤研究(B)
1)早期記憶学習障害を示す老化促進マウスSAM P8系と正常形質を示す日本産野生マウス由来JF1系を交配しF2雑種を得、5ケ月齢に達した時点でSTEP THROUGH記憶学習実験によって表現型を測定した。この表現型に対し120カ所以上の遺伝子多型マーカを用いて全ゲノム的なQTL解析を行い、有意なLOD SCOREを示しSAM P8に由来する責任遺伝子座を第1番染色体と第13番染色体上に同定した。興味在ることに、正常な表現型を示すJF1マウスにも第15番染色体上に早期記憶学習障害を促進する遺伝子座が2カ所存在することを見いだした。2)スピードコンジェニックマウス作製法を用いてSAM P8とJF1間のF1雑種マウスをJF1系統に対して7回戻し交配を繰り返しJF1の背景に候補遺伝子領域が存在する第1番、第13番あるいは第15番染色体をSAM P8に置換したコンジェニック系統を樹立した。3)これらの候補領域に存在する遺伝子について系統的に発現と構造を解析したところ、1番染色体からは3個、13番染色体からは1個の遺伝子において、SAM系統に特徴的なアミノ酸置換をもたらす多型を見いだした。また15番染色体の候補領域からは、JF1系統に特徴的なアミノ酸置換をもたらす多型を、各候補領域でそれぞれ7個と2個の遺伝子に見いだした。4)13番染色体由来のSAM系統由来の特徴的多型はイオンチャンネルに構造的差異をもたらした。このチャンネルを培養細胞で発現させパッチクランプ法でイオンの透過度を測定したところ、野生型との間で差異が認められ、記憶学習障害との関連性が示唆された。
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