生体高分子には核酸の二重ラセンや蛋白質のα-ヘリックスのようにさまざまなラセン構造がみられる。また、蛋白質には互いに類似したアミノ酸配列が連続して繰り返すリピート配列(タンデムリピート)が数多くみられ、ロイシンリッチリピート(LRR)、アンキリン、HEATなどさまざまなタイプが存在することが知られてきている。例えば、LRRは、20〜30残基の長さを一単位とするタンデムリピートであり、バクテリアからヒトまで4千個以上の蛋白質中に見いだされている。このようなリピート配列はスーパーヘリックス構造(ソレノイド構造)をとることが知られている。これまで立体構造が解かれたタンデムリピートは10回位のリピートが少ない場合が大部分である。しかしながら、リピート数が40回にも達する多くのタンデムリピートが存在する。 そこで、本研究は、リピート数が多いタンデムリピートの立体構造予測法を開発することを目的としている。その第一段階として、3次元原子座標データからヘリックス構造のパラメータ(ヘリックス半径、ヘリックスピッチ)を計算する方法を開発した。本年度は、このヘリックスフィッテイング法の有効性を確立するため、他の研究者により提案されている方法と比較検討した。その結果は、他の方法より精度のよい方法であることを明らかにした。また、立体構造のデータベースを用いて蛋白質のα-ヘリックスや3(10)-ヘリックスのヘリックスパラメータを求めた。いくつかの興味ある結果を得た。また、応用例として考えている、ロイシンリッチリピート(LRR)の構造、機能、分子進化についての総説を投稿した。
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