研究概要 |
蛋白質には互いに類似したアミノ酸配列が連続して繰り返すリピート配列(タンデムリピート)が数多くみられ、ロイシンリッチリピート(LRR)、アンキリン、HEATなどのリピート配列が知られている。LRRは、20〜30残基の長さを一単位とするタンデムリピートであり、バクテリアからヒトまで1万個以上の蛋白質中に見いだされている。このようなリピート配列はスーパーヘリックス構造(ソレノイド構造)をとることが知られている。これまで立体構造が解かれたタンデムリピートは10回位のリピートが少ない場合が大部分である。しかしながら、リピート数が50回にも達する多くのLRRが存在する。本研究は、リピート数が多いタンデムリピートの立体構造予測法を開発することを目的としている。 この目的のために、3次元原子座標データからヘリックス構造のパラメータ(ヘリックス半径、ヘリックスピッチなど)を計算するプログラムHELFITを開発した。本年度は、蛋白質の立体構造データベースPDBにHELFITを適用して蛋白質のすべての3(10)-ヘリックスのヘリックスパラメータを求めた。その結果、蛋白質の3(10)-ヘリックスは、本質的に一様な内部回転角であらわすことができず、長いヘリックスとして存在することは不可能であることを明らかにした。このような性質を強調するために、3(10)-ヘリックスはパラヘリックスでることを提案した(Proteins、in press)。また、ロイシンリッチリピート(LRR)の立体構造予測へむけて、LRRの立体構造、機能、分子進化、およびリガンドとの相互作用について、また、LRRの突然変異が引き起こす立体構造変化とさまざまなヒトの病気との関連について総説(Drug Design Reviews 2:305-322,2005;Cell Mol Life Sci,62:2771-2791,2005)として報告した。
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