生体高分子には、蛋白質のα-ヘリックス、核酸の二重ラセン、コイルドコイルなどの様々なラセン構造が観測される。また、全蛋白質の約5%に、ロイシンリッチリピート(LRR)、アンキリン、ロイシンリッチリバリアント(LRV)、HEATなどの様々なリピート配列が存在し、これらのリピート配列は多様なコイルドコイル(ソレノイド構造)をとることが知られている。このようなラセン構造の定量的な解析のために、3次元座標データを最適なラセンにフィットさせる方法(HELFIT)を開発した。HELFITは、同時に全てのヘリックスパラメータ(1回転あたりの残基数、ラセンのピッチ、ラセン半径、キラリテイ)を計算する優れた方法である。 HELFITを、蛋白質立体構造データベースPDBを使って、蛋白質の様々な二次構造に適用し、次の結果を得た。(1)3_<10>-ヘリックスは、これまで考えられたように均一な内部回転角であらわすことは不可能であり、ヘリックスが長くなるにつれ不安定になることを明らかにした。このような特徴を言い表すためにパラヘリックス(prahelix)という用語を提案した。(2)蛋白質中のα-ヘリックスの多くは、18残基で5回転するヘリックス(18/5ヘリックス)よりも43/12ヘリックスまたは11/3ヘリックスにより近いことを明らかにした。(3)α-ヘリックスの変異型ω-ヘリックス(4残基で1回転するヘリックス)も存在することをみいだした。このω-ヘリックスは、蛋白質にはみいだされてなかった。ポリ-γ-ベンジル-L-アスパラテイトなどの合成ポリペプチドにおいてのみ報告されていた。 (4)π-ヘリックスについては、現在が進行中である。
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