研究概要 |
本研究課題では日本人に頻度の高い単一HLAハプロタイプにおけるHLAクラスI領域の塩基配列を決定し、既知塩基配列を加えたHLAハプロタイプ間の多様性解析から、SNPの検出とその分布さらには、SNPと疾患感受性遺伝子との関係を明らかにすることを目的とした。本年度の成果として、日本人に頻度の高い単一HLAハプロタイプであるLKT3(A24-B54-DR4)とAKIBA(A24-B54-DR4)について52遺伝子、総塩基数はLKT3では475,879bp、AKIBAでは475,686bpを決定した。COX,PGFを含めた4種類の塩基配列を総合して比較解析した結果、総数1,770SNPsを見い出した。この内1,496SNPsはイントロン、274SNPsはエクソン(同義置換116個、非同義置換158個)に存在した。非同義置換の内109個はHLA-A,-B,-C、3個はHLA-E,-F,-G、46個は非HLA遺伝子領域に存在したことからHLA-A,-B,-C遺伝子領域の多様度は圧倒的に高く、さらに隣接領域も高かった。また、各ハプロタイプ別の比較も同様の結果であった。これらの固定されたSNP高多様度領域はヒッチハイキング領域と相称され、疾患感受性遺伝子の位置と一致したことから多型を蓄積する正の選択圧のため、負の選択圧が掛るべき隣接遺伝子領域に有害多型が生まれ、疾患を構成すると考えられた。
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