前年度から引き続き、ポリペプチド鎖C末端をアスパラギン酸に固定した切断部位特異抗体の評価を合成ペプチドを血清アルブミンに固定化してELISAでおこなった.C末端アミノ酸の特異性は、当然のことながらアスパラギン酸に対して圧倒的に親和性を示したが、Leu>Met>Cys>Asnにもこの順で有意な結合性が認められた。C末端から2番目のアミノ酸残基は、Leu>Ile>Valの親和性、3残基目は、Leu>His>Phe>Met>Tyr>Trp>Cys>Asn>Ile>Thr>Gln>Val>Pro>Glu>Asp>Lys>Ser>Ala>Gly>Argの順であった。これらの結果をふまえてC末端アミノ酸をチロシンに置換した切断部位特異抗体の作成に着手した。また、末端2残基をランダム化した免疫原に対する単クローン抗体を作成するために、すでに確立しているポリクローン抗体を用いてスクリーニングの手順を検討した。免疫原はペプチドをヘモシアニンに結合しているため、スクリーニング用のペプチドは血清アルブミン(BSA)にペプチド末端のシステイン残基SH基を介して固定化した。96穴プレートに50ngずつBSA-ペプチドを吸着させ、被検定抗体の結合を蛍光標識抗IgG抗体で富士フイルムFLA5000アナライザで定量した。被検定抗体濃度は50ng/mLまで測定可能であった。並行して相互作用解析装置Biacoreでのスクリーニングも検討した。ペプチドELISAによる抗原抗体親和性の検定を確かめる意味で、T7ファージの系(FD法)で得られた結果と比較した。FD法では定性的な結果は迅速に得られるが、親和性の定量は難しい。免疫原が...DHLDである切断部位特異抗体を被検定抗体とした場合、C末端はAsp、末端から2番目はLeu>Val、3番目はArg>His>Glu=Gln=Tyrという結果になった。
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