研究課題
本研究では分子間相互作用の研究用ツールとしての標識化タンパク質を得る方法として、まず3-アジドチロシンをタンパク質分子内の希望の位置に導入しておき、タンパク質合成終了後アジド基選択的な反応試薬であるトリアリルフォスフィン誘導体(蛍光発色団や光駆動架橋性官能基を結合させておく)との反応で目的の標識化タンパク質を得るという方法、およびタンパク質のX線結晶構造解析の重要な支援技術として、MAD法におけるセレノメチオニンに代わるアミノ酸(具体的には3-ブロモチロシン)を導入する方法の開発を目指している。今年度は、タンパク質合成システム全体のさらなる高効率化を図るために現在わかっている問題点の解決を試みると共に、それぞれの要素システムの改善を図った。まず、非天然アミノ酸専用tRNAとして酵母AmberサプレッサーtRNA以外に酵母ミトコンドリア由来のトリプトファンtRNAをOpalサプレッサーtRNAとして利用する可能性を見いだした。また、酵母チロシル-tRNA合成酵素を遺伝子工学的に改変し、AmberサプレッサーtRNAにより適合した変異体を取得することに成功した。「非天然アミノ酸含有タンパク質」の合成に関しては、モデルタンパク質として7-α hydroxysteroid dehydrogenaseを選び、大腸菌生細胞内で分子内の特定部位に3-ブロモチロシンを導入したタンパク質標品を過剰発現させて、その結晶化と予備的X線結晶解析に成功した。また、分子内の特定部位を1分子1蛍光標識したカルモデュリンを調製し、蛍光相関分光法によりカルモデュリン結合タンパク質との相互作用を解析して蛍光プローブの導入部位によって相互作用への影響が大きく異なることを見いだした。
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Protein and Peptide Letters 13,4
ページ: 417-419
J. Biochem. 139,1
ページ: 123-127
J. Biochem. 139,4 (in press)