研究課題
今年度は本研究計画の最終年度にあたるので、非天然アミノ酸(3-アジドチロシン)組込みのための各要素システムの改善を図るとともに研究計画の取りまとめを行った。まず、新たな非天然アミノ酸用tRNAとして開発した酵母ミトコンドリア由来のトリプトファンtRNA/TrpRSのシステムで、より多様な非天然アミノ酸を導入できるようTrpRSの遺伝子工学的改変を行い、インドール環の7位にメチル基をもつトリプトファンアナログが受容できるmt TrpRS改変体F38Aを取得することに成功した。また、大腸菌生細胞内で7-α hydroxysteroid dehydrogenase(7α-HSDH)分子内の特定部位に3-プロモチロシンを導入してMAD法によるX線結晶解析に利用する計画に関しては、より有用性が高いと考えられるSAD法に適した3-ヨードチロシン導入に変更し、現在までに104,230,238位に3-ヨードチロシンを含む7α-HSDHをそれぞれmg単位で精製することができた。これらの3-ヨードチロシン導入7α-HSDHについては共同研究者らにより結晶化とX線結晶解析が進められている。前年度に分子内の特定部位を1分子1蛍光標識することに成功したcalmodulinについては、新たに開発した二官能性トリアリールホスフィン誘導体を利用したタンパク質-タンパク質問相互作用検出用クロスリンカーの開発を検討している。さらに、アルカリ性ホスファターゼ分子内の特定部位に導入した3-アジドチロシンを足掛かりにガラスビーズの表面に固定化する方法を開発した。この方法によれば、例えば酵素タンパク質の活性を保持したまま「配向選択的に」固定化することが可能となり、研究用試薬としての有用性や工業的利用価値が高いものと期待される。
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