研究課題/領域番号 |
16310151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50152492)
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研究分担者 |
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40203533)
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キーワード | アオヒトデ / Linckia leavigata / 神経突起伸長 / 神経成長因子 / PC12細胞 / 海洋生物 / ステロイド配糖体 / ERK |
研究概要 |
1.分離:沖縄県座間味村近海で採集したアオヒトデLinckia laevigataをメタノールで抽出し、脱脂後、水溶性区を逆相カラムで大まかに分離し、サポニン類を含む混合物を得た。これをシリカゲルカラムで分離し、目的のサポニン類を主成分として含む画分を得た。これをHPLCで繰り返し精製した結果、約20種のステロイド配糖体を純粋に得ることに成功した。 2.構造解析:NMRを中心とする構造解析の結果、これらは全て従来のlinckosideと同様にステロイド母核と五単糖から成り、一群のファミリーを形成していることがわかった。また構造の多様性は、ステロイド母核の酸化(水酸化や二重結合の位置)の様式、側鎖の枝分かれの様式、五単糖の数(1個か2個)と種類(xyloseかarabinose)、糖のメチル化の様式により生じていた。 3.これら化合物の神経突起伸張活性は下記の2つの条件で現在検討中である。まず、ラット由来PC12細胞にステロイド配糖体を投与し、NGF様神経突起伸張活性を調べ、次いで微量NGF(1.5ng/ml、神経突起伸張は示さない)存在下でステロイド配糖体を投与してNGF増強効果を調べる。今後、構造と活性の相関の詳細が判明すると期待される。 4.NGF増強活性物質の作用機構:既知の関連ステロイド配糖体granulatoside Aの顕著なNGF増強活性の作用機構を、NGFの神経突起伸長作用における細胞内シグナル伝達系で重要なタンパクERKの活性化(リン酸化)に注目して解析した。その結果、微量NGF(1.5ng/ml)では一過性(約4時間)のリン酸化しか起こらないが、granulatoside A(10μM)が共存するとリン酸化が24時間以上持続されたことから、ERKのリン酸化の持続がNGF増強活性の一原因と考えられた。
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